今行うべきことは酒類の一律提供禁止ではなく飲食店のリスク評価である

東京都に緊急事態宣言が再度発令されようとしています。しかし、今回、緊急事態宣言が発令され、時短措置に加えて酒類の提供が禁止されても効果がないのは明らかです。

東京都の新規感染者数が1週間前の同曜日を上回るのは東京都の緊急事態宣言の解除前の6月20日からです。緊急事態宣言下でも感染者が増加しつづけ、その結果が解除後の数字の増加となって表れたことは明らかです。したがって、6月20日以前のように緊急事態宣言を発令し酒類の提供を禁止しても、今後の新規感染者数増加の抑制に効果がないことがわかります。

飲食店の時短要請や酒類提供禁止の措置が行われていても感染者が増加している要因は、飲食店のよって異なる感染リスクを無視した対策にあります。飲食店は、業態、客室・厨房構造、換気設備、平均滞在時間等によって感染リスクが異なります。顧客1人当たりの空間が広い店、ゆったりとした個室中心の料亭やグランメゾンのフレンチなどでは感染リスクが低いですし、狭い客室に多くの顧客が密集する居酒屋では感染リスクが高くなります。厨房と客席が一体となったカウンター中心の店では、厨房の換気能力が高いため、リスクが低いのが一般的ですし、滞在時間が短いラーメン店や牛丼店なども感染リスクが低いと言えます。

これらのリスクを数値化し、感染リスクのレベルに応じた時短、酒類提供等の措置を講じることにより、感染拡大阻止と経済的損失の減少を同時に達成することが可能となります。

現在の時短等の措置は飲食店の固有のリスクに関係なく一律に行うもので、感染リスクの高い店では、時短、酒類提供措置を講じても感染者が発生する可能性が高く、このことが緊急事態宣言下で新規感染者が増加している要因となっています。一方、感染リスクの低い店では、一般に客単価が高いということもあり、一律の時短等の要請により協力金で補填できない大きな経済的損失を受けています。
感染リスクの高い店も、換気設備を増強したり、空気清浄機を設置したりすることによりリスクの低減化が可能です。特に、風力が強くウイルスの不活性化能力の高い空気清浄機は窓開け換気を1時間に4回行ったのと同等の効果があり、設置するだけで飲食店のリスクを大幅に低減化することが可能となります。これらの高リスク店に対してはリスク低減化の改善措置を要請し、空気清浄機を設置等に対する支援措置を講じることが、感染者増を阻止する有効な施策であると考えます。
これらリスクの数値化については、一般社団法人食の推進機構において、評価認証委員会を設置し、医師、換気専門家、厨房機器専門家により議論いただき、新しい評価認証制度として、飲食店に対する巡回調査、評価認証、感染症対策のデータベース化、オープンデータ措定の提供による見える化などの一連のサービスと共に関係企業と共に構成するコンソーシアムC-SODEにより都道府県に提供する体制が整っています。

都道府県においては、政府からの通知を受けていわゆる山梨モデルによる第三者認証制度を導入していますが、感染リスクの数値化というC-SIDEのソリューションは、現代の鎖国ともいうべき都道府県の公募における地域要件(本社、支社又は営業所所在する者であること)があるため、公募に参加することさえできず、いまだに導入されている地域はありません。

早急に改善をお願いし、都道府県の感染症対策への参加の機会をいただきたいと思います。飲食店のリスクの数値化とこれに対応した時短等措置のレベル化、リスク低減化に対する支援措置は新型コロナ感染症から飲食店を救うだけでなく、国民から新型コロナから守るため、是非、実現させたいと思います。

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